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ECパッケージとは?メリット・デメリットと選び方の6つのポイントも紹介

「ECサイトを本格的につくりたいけれど、パッケージとASPのどちらが自社に合うのかわからない…」と迷っていませんか。ECサイトのパッケージとは、EC運営に必要な機能をまとめたシステムで、自社にあわせてつくり込める点が特徴です。
この記事では、パッケージの特徴やほかの構築方法との違い、メリット・デメリットを解説します。費用の内訳や導入手順、製品をくらべるときの基準もまとめました。読めば、自社にパッケージが向いているか、どの基準で製品を選べばよいかを判断できます。
ECサイトの運営がはじまると、返品・交換への対応も欠かせない業務になります。
ECサイトのパッケージとは

ECサイトをつくる方法はいくつかあり、パッケージはそのうちの1つです。費用や自由度は構築方法によって大きく変わります。違いを知らないまま選ぶと、導入後に「機能が足りない」「費用がかかりすぎる」といった問題が起こりがちです。
まずは、次の3点からパッケージの全体像を整理します。
- ECサイトのパッケージの特徴
- 搭載されている主な機能
- ほかの構築方法との違い
ASPからの乗り換えを検討している企業は、とくに3つ目の「ほかの構築方法との違い」をチェックしてください。
ECサイトのパッケージの特徴
ECサイトのパッケージとは、商品管理や受注管理、決済などEC運営に必要な機能をひとまとめにしたシステムです。開発会社(ベンダー)が用意した完成済みのシステムをもとに、自社の要件にあわせて追加開発する形で構築します。
ゼロから開発するフルスクラッチとくらべると、基本機能をつくる手間をはぶけます。一方で、月額制で借りて使うASPよりも、デザインや機能を自由につくり込めるのがメリットです。
自社サーバやクラウド上に構築し、自社専用のシステムとして運用できる点も特徴です。中・大規模のEC事業で採用されることが多く、基幹システムとの連携を前提に導入する企業も見られます。
代表的な製品には、ソフトクリエイトの「ecbeing」や、エスキュービズムの「EC-ORANGE」があります。どちらも構築から運用支援までをベンダーが担う体制です。
ECサイトのパッケージに搭載されている主な機能
ECサイトのパッケージには、ネットショップの運営に必要な機能が標準でそなわっています。代表的な機能は次のとおりです。
| 機能 | おもな内容 |
| 商品・在庫管理 | 商品情報の登録、在庫数の管理 |
| 受注管理 | 注文の確認、出荷指示、ステータスの管理 |
| 顧客管理 | 会員情報や購入履歴の管理 |
| 決済 | クレジットカードやコンビニ払いなどへの対応 |
| 販促 | クーポン、ポイント、メール配信 |
| 分析 | 売上やアクセスの集計 |
これらの機能は管理画面でまとめて操作でき、受注から出荷、売上のチェックまでを1つのシステムで完結できます。
製品によっては、BtoB取引向けの見積機能や、複数倉庫の在庫を一元管理する機能をそなえたものもあります。受注データを基幹システムや倉庫管理システムへ自動で連携できる製品なら、手作業による入力ミスを減らせる点もメリットです。
標準機能の範囲は製品ごとに異なるため、自社に必要な機能が含まれているかをはじめにチェックしましょう。機能一覧表をとりよせ、自社の業務フローと照らしあわせると見おとしをふせげます。
ECサイトのパッケージとほかの構築方法の違い
ECサイトの構築方法には、パッケージのほかに次の4つがあります。
- ASP
- クラウドEC
- オープンソース
- フルスクラッチ
それぞれの費用の決まり方と、公式サイトで公開されている料金の例は次のとおりです。
| 構築方法 | 費用の決まり方 | 公式サイトでの料金の例 | 自由度 |
| ASP | 料金プランごとの月額制 | 「MakeShop」(プレミアムプラン):初期費用11,000円、月額13,750円(税込) | 低い |
| クラウドEC | 初期費用と月額利用料 | 個別見積もりが中心 | 中〜高 |
| パッケージ | ライセンス費用、構築費用、保守費用 | 「EC-ORANGE」:要件定義で確定した内容をもとに個別見積もり | 高い |
| オープンソース | 本体は無料、構築・保守は別途 | 「EC-CUBE」(オープンソース版):本体は無料 | 高い |
| フルスクラッチ | 設計からすべて個別に開発 | 個別見積もり | 非常に高い |
※料金は2026年10月時点の各社公式サイトの記載(税込)です。「自由度」は各構築方法の特徴をもとにした目安です
ASPは低コストではじめられる反面、独自機能の追加に制限があります。オープンソースは無料で使える代わりに、「EC-CUBE」のようなソフトを改修できる技術者が必要です。
ASPでは物足りないものの、フルスクラッチほどの費用はかけられない企業に向いているのがパッケージです。
出典:
GMOメイクショップ株式会社 MakeShop「料金プラン」
株式会社イーシーキューブ「オープンソース版EC-CUBEのご紹介」
株式会社エスキュービズム EC-ORANGE「費用」
ECサイトをパッケージで構築するメリット

ASPやフルスクラッチとくらべたとき、パッケージには次の4つのメリットがあります。
- ECサイト運営に必要な基本機能が揃っている
- 自社に合わせてカスタマイズしやすい
- ECサイトの構築期間を短縮しやすい
- セキュリティ対策を講じやすい
なかでも2つ目のカスタマイズのしやすさは、ASPとの大きな違いです。
ECサイト運営に必要な基本機能が揃っている
基本機能がはじめから揃っているため、ECサイトのしくみをいちからつくらずにすみます。
商品管理や受注管理、決済などは、多くのECサイトで共通して使う機能です。パッケージではこれらが実装済みのため、開発の手間を自社独自の機能に集中させられます。
たとえば、ポイント機能や会員ランク機能を標準でそなえた製品なら、販促施策をすぐにはじめられます。多くの企業で使われてきたものは、運用のなかで不具合の修正がかさねられているため、動きが安定しやすい傾向です。
標準機能をそのまま使える部分が多いほど、開発費と期間をおさえられるのもメリットです。どこまで標準機能でまかなえるかは、デモ画面で実際に操作してたしかめておきましょう。
自社に合わせてカスタマイズしやすい
ASPとくらべて、自社の業務やブランドにあわせたカスタマイズがしやすい点もメリットです。
パッケージは、追加開発を前提につくられた製品が多いためです。ソースコードの一部またはすべてを改修できる製品もあり、独自の購入フローや画面デザインを実現できます。管理画面の項目や帳票の形式を、自社の業務にあわせて変更できる製品もあります。
たとえば、定期購入の条件を細かく設定したり、基幹システムや物流システムと連携させたりといった対応ができるのも強みです。BtoBとBtoCを1つのサイトで運用している企業もあります。ASPでは対応しにくい業界特有の商習慣も、パッケージならしくみに組みこめます。
他社と同じしくみでは差別化しにくい企業ほど、パッケージ向きです。
ECサイトの構築期間を短縮しやすい
フルスクラッチとくらべて、構築期間を短縮しやすいのも特徴です。
基本機能を開発しなくてよいため、要件定義やカスタマイズに時間を使えるからです。ゼロから開発する場合は、設計から基本機能の実装を含め、すべての作業を行う必要があるため、さらに長い期間がかかります。
「J-Net21」(中小機構)も、ASPやパッケージソフトの充実で安価かつスピーディーな構築が可能になりつつあると説明しています。標準機能を多く使い、カスタマイズをしぼり込むほど、期間は短くなる傾向です。反対に、独自機能の追加が多い案件や外部連携が複雑な案件では、期間が延びやすくなります。
公開時期が決まっているリニューアルでも、パッケージならスケジュールを組みやすくなります。
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 J-Net21「ネットショップ(電子商取引・EC)」
セキュリティ対策を講じやすい
ベンダーのセキュリティ対策を活用できるため、自社だけで対応するより安全性を確保しやすくなります。
ベンダーによっては、脆弱性が見つかった際の修正プログラムの提供や、セキュリティ診断のサービスを用意しています。
経済産業省とIPA(情報処理推進機構)は、2023年3月に「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」を公開しました。ソフトウェアを最新の状態に保つことや、管理画面への不正ログイン対策などが求められています。二要素認証の導入や、ログ・バックアップの管理も対策の1つです。
ベンダーのサポートを受ければ、こうした対策を自社の担当者だけでかかえ込まずにすすめられます。
ただし、対策の範囲は契約内容によって異なるため、導入前にチェックしておきましょう。脆弱性への対応がどこまで保守費用に含まれるかも、あわせてたしかめておくと安心です。
出典:
IPA「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」
経済産業省「「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」を公開しました」
ECサイトをパッケージで構築するデメリット

一方で、パッケージには導入前に知っておきたい注意点もあります。とくに費用と保守の負担は、ASPから乗り換える企業が見おとしやすいポイントです。おもなデメリットは次の3つです。
- 導入・運用にコストがかかる
- システムの保守・アップデートが必要になる
- パッケージによってカスタマイズできる範囲が異なる
各項目の最後に、導入前にできる対策もまとめています。
導入・運用にコストがかかる
ASPとくらべると、導入と運用にかかる費用は高くなります。
ライセンス費用に加えて、要件にあわせたカスタマイズ費用がかかるためです。導入後も、サーバ費用や保守費用が毎月かかるのが一般的です。
パッケージの多くは公式サイトで料金を公開しておらず、要件をもとにした個別見積もりになります。「EC-ORANGE」も、導入費用はカスタマイズの内容や導入規模によって変わるとしています。
カスタマイズの範囲や外部システムとの連携がふえるほど、費用はふくらむ傾向です。売上が小さい段階では、システムの費用が利益を圧迫しかねません。
年商や見こめる売上をもとに、投資を回収できるかを試算してから導入を判断しましょう。小規模ではじめるなら、ASPで運営をはじめて事業の成長にあわせて移行する方法もあります。
出典:株式会社エスキュービズム EC-ORANGE「費用」
システムの保守・アップデートが必要になる
パッケージは導入後も、保守やアップデートをつづけなければなりません。
決済方法の追加や法改正、ブラウザの仕様変更などにあわせて、システムを更新しなければならないためです。
自社サーバで運用するなら、OSやミドルウェアの更新も自社の責任で行います。カスタマイズした部分が多いと、バージョンアップのたびに改修が必要になり、費用がかさむこともあります。更新をあと回しにすると、セキュリティ上の弱点をかかえたまま運用することになりかねません。
保守契約の内容と、バージョンアップ時の費用負担を前もってたしかめておくと安心です。クラウド型のパッケージなら、システムの更新をベンダーにまかせられるものもあります。
パッケージによってカスタマイズできる範囲が異なる
カスタマイズできる範囲は、パッケージによって大きく異なります。
ソースコードを開示している製品もあれば、ベンダーしか改修できないものもあるためです。ソースコードが開示されている製品なら、自社のエンジニアや別の開発会社に改修をまかせることもできます。
改修をベンダーにたのむときは、小さな変更でも見積もりや開発期間が必要になります。また、ベンダー独自のしくみが多い製品は、将来ほかのシステムへ移行するときの負担が大きくなりがちです。自社に開発担当者がいるかどうかによっても、向いているパッケージは変わります。
導入前に、自社で改修できる範囲と、ベンダーに依頼する範囲を明確にしておきましょう。契約書や仕様書に改修のルールをのこしておくと、運用開始後のトラブルをふせげます。
ECサイトのパッケージを選ぶ6つのポイント

デメリットをふまえたうえで、パッケージをくらべるときは次の6つをチェックしましょう。
- 必要な機能が揃っているか
- カスタマイズ・拡張性が十分か
- 操作性や管理のしやすさに問題がないか
- セキュリティ対策やサポート体制が充実しているか
- 自社と類似する企業の導入実績があるか
- 初期費用・月額費用・追加費用を含めて予算に合うか
複数の製品を同じ基準でくらべると、導入後の「想定と違った」をふせげます。以下では、機能と拡張性から順に解説します。
必要な機能が揃っているか
まずは、自社の業務に必要な機能が標準で揃っているかをチェックします。
標準機能で足りない部分は追加開発が必要になり、費用と期間がふえるためです。機能の数が多くても、自社の業務に合わなければ使いこなせません。
チェックするときは、必要な機能を「必須」と「あれば便利」にわけて一覧にし、それぞれの製品と照らしあわせるとくらべやすくなります。
BtoB取引や定期購入、複数倉庫の在庫管理など、業態に特有の機能は製品によって対応状況が異なるので気をつけてください。資料だけではわかりにくい部分は、デモ環境で実際の業務の流れにそってためしてみましょう。
標準機能でまかなえる範囲が広い製品ほど、導入コストをおさえられます。
カスタマイズ・拡張性が十分か
将来の事業拡大を見すえて、カスタマイズや機能拡張に対応できるかも見ておきたいポイントです。
売上がのびると、新しい決済方法や外部ツールとの連携など、導入時にはなかった要望が生まれるためです。
たとえば、ECで注文した商品を店舗で受け取れるようにしたり、海外向けに販売したりといった要望があげられます。拡張に対応できない製品を選ぶと、システムの入れ替えに大きな費用がかかることもあります。
外部ツールと連携するためのAPI(システム同士をつなぐしくみ)が公開されているかも、たしかめておくと安心です。決済サービスやCRMツールなど、連携実績のあるサービスの一覧も参考になります。
3〜5年後の事業計画をもとに、必要になりそうな機能を洗いだしておきましょう。
操作性や管理のしやすさに問題がないか
管理業務の効率化は、売上にも直結するため、サイト内の管理がしやすいECパッケージを選ぶことも重要なポイントです。
ECサイトは構築で完結するものではありません。
Googleアナリティクスなどから取得したデータを基に、サイト内の改善点や課題を洗い出し、サイトの構造を変更していく必要があります。
その際、管理しづらいパッケージを選択してしまうと、時間や手間が余計にかかってしまいます。
操作性や管理のしやすさに問題がないか、事前にチェックしておきましょう。
セキュリティ対策やサポート体制が充実しているか
ECサイトを一から構築するには、幅広い知識と高度な技術力が求められます。
しかし、知識やスキルを身につけてから構築に取り組むほど時間的な余裕がない場合は、サポート体制が整ったパッケージサービスを選択するのがおすすめです。
ECパッケージサービスに構築サポートが付随していれば、構築に関する助言や疑問点の解消を得られるので安心して利用できます。
また、サービスによってセキュリティの質は異なり、セキュリティが脆弱なパッケージや対応範囲が限定的で古いパッケージを選択してしまうと、ECサイトに不具合が生じるリスクが高まります。
一定のコストは発生しますが、ECサイトを守るためにも、最新のセキュリティを備えたパッケージを選ぶことが賢明です。
自社と類似する企業の導入実績があるか
導入事例を確認し、他社が実際にそのパッケージを導入してどのような成果を上げているかを把握することも、重要な比較の視点です。
導入事例を確認することで、ECパッケージ会社の実績や信頼性を把握できます。また、自社の業種や規模に適したカスタマイズや機能拡張が可能かどうかも確認できます。
類似業界の企業が成功を収めている場合、自社でも期待される効果を得やすいでしょう。
導入事例を参考にすることで、ECパッケージ会社の選定においてより適切な判断ができ、成功への可能性を高められるのです。
初期費用・月額費用・追加費用を含めて予算に合うか
パッケージ型のECサイト構築を検討する上で、「費用面の確認」は非常に重要な比較の軸です。
ECサイトを作って開業した場合、初期費用と月額利用料がかかってしまいます。
各ECパッケージ会社によって価格設定は異なるため、初期費用や月額利用料の差異を比較することで、予算に見合ったサービスを選択できます。
また、初期費用や月額費用以外にもコストがかかる点に留意が必要です。
一部のECパッケージ会社では、基本機能だけでなく追加機能やオプションの利用に際して別途料金が発生する場合があります。必要な機能が含まれているかどうか、また追加オプションの料金が妥当かどうかを確認することがポイントです。
サービスの質も考慮した上で、コストパフォーマンスに優れたものを選びましょう。
ECサイトのパッケージ導入にかかる費用

パッケージにかかる費用は、大きく次の4つにわけられます。
| 費用の種類 | 金額の決まり方 | おもな内容 |
| 初期費用 | 要件をもとに個別見積もり | ライセンス費用、要件定義・開発・インフラ構築・データ移行 |
| 月額費用 | 契約内容により異なる | ソフトウェア保守、インフラ監視、クラウドサービス利用料 |
| カスタマイズ・保守運用費用 | 改修内容により個別見積もり | 機能追加、障害対応、バージョンアップ |
| 追加費用 | サービスにより異なる | 決済手数料、外部ツール、データ移行など |
※費用の項目は、「EC-ORANGE」公式サイトの記載(2026年10月時点)をもとに整理しています
出典:株式会社エスキュービズム EC-ORANGE「費用」
金額は製品や要件によって大きく変わるため、複数社の見積もりでたしかめてください。予算は、初期費用に運用期間中の費用も加えて考えましょう。表の4つのうち、初期費用以外は導入後もかかりつづけます。
初期費用
初期費用には、ライセンス費用や構築費用が含まれます。
パッケージはソフトウェアの利用権を購入したうえで、自社向けに設定や開発を行うためです。ライセンスの支払い方法は買い切りや年額制など製品によって異なり、初期費用に含まれる範囲も変わります。
「EC-ORANGE」の場合、初期費用には要件定義やプロジェクト管理・開発・インフラ構築などが含まれます。最終的な開発費用は、要件定義で確定した内容にもとづく見積額です。費用を左右するおもな要素は次の5つです。
- カスタマイズの範囲
- デザインの作り込み
- 外部システムとの連携
- 開発体制(自社対応か外注か)
- 保守体制の手厚さ
見積もりをくらべるときは、どの作業が初期費用に含まれているかをそろえてチェックしましょう。工程ごとの工数(要件定義・設計・開発・テスト)を見ると、金額が妥当かどうかを見きわめやすくなります。
出典:株式会社エスキュービズム EC-ORANGE「費用」
月額費用
運用中は、月額費用もかかります。
サーバの利用料や保守サポート費用、ライセンスの更新料などが毎月かかるためです。
「EC-ORANGE」では、運用時の費用としてソフトウェア保守やインフラ監視、クラウドサービスの利用料があげられています。クラウド型の製品では、サーバ費用やアップデート費用が月額に含まれることが多くなっています。
一方、オンプレミス型(自社サーバで運用する形)では、サーバを別途用意しなければなりません。アクセス数の増加にあわせてサーバを増強すると、月額費用があがる点にも気をつけてください。クラウド型には、セールの時期だけサーバを増強できる製品もあります。
初期費用だけで決めず、5年間など一定期間の総額でくらべると、製品ごとの差がわかりやすくなります。
カスタマイズ・保守運用にかかる費用
導入後に機能を追加したり、システムを保守したりする費用も見こんでおきましょう。
ECサイトは公開後も、販促施策の追加や法改正への対応など、改修がつづくためです。
追加開発は内容に応じて都度見積もりになるのが一般的で、画面の修正のような小さな改修でも見積もりと開発期間が必要です。また、保守契約に含まれる作業の範囲は製品ごとに異なります。障害に対応してもらえる時間帯や、問いあわせできる回数もチェックしておきましょう。
緊急時の対応が別料金になっている契約もあるため、料金表もあわせてとりよせてください。改修の依頼から反映までにかかる日数も、契約前に聞いておきたい項目です。
年間の改修予算をあらかじめ確保しておくと、施策を止めずに運用をつづけられます。
導入前に確認しておきたい追加費用
見積もりに含まれにくい追加費用もあるため、導入前にチェックしておきましょう。
本体の費用以外に、周辺サービスの利用料が別途かかることが多いためです。代表的な追加費用は次のとおりです。
- 決済代行会社の手数料
- SSLサーバ証明書の費用
- 外部ツール(メール配信や返品管理など)の利用料
- セキュリティ診断の費用
- 既存サイトからのデータ移行費用
これらは毎月の売上や利用量に応じて変わるものも多く、事業がのびるほど金額が大きくなります。見積もりの段階で「別途費用」の項目をすべて洗いだし、導入後の予算超過をふせぎましょう。
「ECサイト構築に必要な7つの費用内訳と3つの注意点を解説」では、構築費用の内訳をくわしく紹介しています。予算を立てる際の参考にしてください。
ECサイトのパッケージを導入する手順

続いて、導入のすすめ方を見ていきます。パッケージの導入は、要件の整理からリリース後の運用まで、次の6つのステップですすめます。
- 要件を整理する
- パッケージを比較・選定する
- 要件定義・システム設計を行う
- 開発・カスタマイズを行う
- テストを実施してリリースする
- リリース後の保守・運用を行う
期間は規模によって異なりますが、全体で数か月以上かかるのが一般的です。ここでは、各ステップで社内とベンダーが行うことを解説します。
要件を整理する
はじめに、ECサイトで実現したいことと必要な機能を整理します。要件があいまいなまま製品を選ぶと、導入後に機能不足や追加費用が生じやすいためです。
売上目標やターゲット、とりあつかう商品数、連携したい社内システムなどを書きだします。受注処理や返品対応など、現在の運営で負担になっている業務も洗いだしておくと、必要な機能が見えてきます。予算と公開したい時期も、この段階でおおまかに決めておきましょう。
社内の関係部署を巻きこんで要件をまとめることで、後からの仕様変更を減らせます。
パッケージを比較・選定する
要件がまとまったら、複数のパッケージをくらべて候補をしぼり込みます。同じパッケージでも、得意な業種や規模、費用のしくみが異なるためです。
3社程度に資料請求や問いあわせを行い、デモ画面で操作性をたしかめます。前述の6つのポイントを評価表にまとめ、点数をつけてくらべると選びやすくなります。
担当者の返答のはやさや提案の具体性も、比較の項目に入れておきましょう。導入実績の多い業種を聞いておくと、自社に近い事例を紹介してもらいやすくなります。
見積もりは、すべての会社に同じ要件を伝えたうえで取得しましょう。条件をそろえることで、金額を正しくくらべられます。
要件定義・システム設計を行う
導入する製品が決まったら、ベンダーといっしょに要件定義とシステム設計を行います。標準機能で対応する部分と、カスタマイズする部分をこの段階で確定させなければならないためです。
画面の構成や購入の流れ、基幹システムとのデータ連携の方法などを決め、仕様書にまとめます。標準機能にあわせて業務を調整すると、個別の開発が不要になるため、開発費をおさえられます。デザインの方向性も、この段階でベンダーとすりあわせておきましょう。
仕様書の内容は社内の関係部署にも見てもらい、認識のずれをなくしておきましょう。打ちあわせの内容は議事録にのこし、決定事項と未決事項をわけて管理します。
仕様が確定した後に変更すると、費用と期間がふえやすい点に注意しましょう。
開発・カスタマイズを行う
設計がかたまったら、ベンダーがカスタマイズやデザインの開発をすすめます。設計書にそって、追加機能や外部システムとの連携を実装していく段階です。テスト環境で開発途中の画面を見られるベンダーもあります。
開発中は、定期的な進捗会議で画面や機能をチェックします。並行して、商品データや会員データの移行準備、決済代行会社との契約手続きもすすめておくとスムーズです。決済代行会社の審査には時間がかかることもあるため、早めに申しこんでおきましょう。
開発中に追加の要望が出たときは、費用と納期への影響をたしかめてから決めます。
チェックの場を定期的にもうけることで、完成後の「イメージと違う」をふせげます。
テストを実施してリリースする
開発がおわったら、テストで問題がないことをたしかめてからリリースします。
決済や在庫連携に不具合があると、売上の機会損失や購入者とのトラブルにつながるためです。公開直後の不具合は、レビューやSNSでひろまりやすい点にも気をつけてください。
注文から決済、出荷指示、メール送信までの流れを実際に操作してたしかめます。スマートフォンでの表示や、アクセスが集中したときの動作も検証しておきましょう。既存サイトから移行するなら、旧URLから新URLへの転送設定もわすれずに行います。
リリース後にそなえて、問いあわせ対応や障害時の連絡体制も決めておくと安心です。
リリース後の保守・運用を行う
リリース後は、保守・運用をつづけながら、売上やアクセスのデータをもとにサイトを改善していきます。
定期的なセキュリティ更新やバージョンアップに加え、購入率の分析や販促施策の追加を行います。返品・交換や問いあわせ対応など、運用業務の負担を減らすツールの導入も検討しましょう。運用で見つかった課題は一覧にまとめ、次の改修計画に反映させましょう。
保守はベンダー、改善施策は自社のように役割をわけると、運用がまわりやすくなります。
「【ECサイト運営】初心者にもできる!業務内容や売上を伸ばす6つのコツを解説」では、公開後の運営業務を紹介しています。運用体制を考える際に、あわせてご覧ください。
ECサイトのパッケージに関するよくある質問

最後に、ECサイトのパッケージについてよくよせられる質問におこたえします。今回取り上げるのは、次の4つです。
- ECサイトのパッケージとASPの違い
- 中小企業でも導入できるか
- 後から機能を追加できるか
- どのくらいの費用がかかるか
導入を検討する際の参考にしてください。
ECサイトのパッケージとASPの違いは?
ASPはサービス提供会社のシステムを借りて使う形式で、パッケージは自社専用のシステムとして構築する形式です。
ASPは初期費用をおさえてすぐにはじめられる一方、カスタマイズできる範囲が限られます。パッケージは費用がかかるものの、独自機能や外部システムとの連携に柔軟に対応できます。
まずはASPではじめ、売上や必要な機能がふえた段階でパッケージへ移行するのも1つの方法です。移行するときは、商品データや会員データを移しかえる作業が必要です。ASPでも外部ツールとの連携で機能をおぎなえることもあるため、必要な機能を一覧にしてくらべてみましょう。
月商の規模や必要な機能をもとに、どちらが合うかを判断しましょう。
ECサイトのパッケージは中小企業でも導入できる?
中小企業でも導入は可能です。ただし、ASPとくらべて初期費用が高くなりやすいため、売上の規模に見あうかを試算しておきましょう。
小規模からはじめるなら、ASPやクラウドECで運営をはじめ、売上の拡大にあわせてパッケージへ移行する方法もあります。クラウドECはパッケージに近い機能をもちながら、初期費用をおさえやすい構築方法です。
予算や要件の相談に応じているベンダーもあるため、複数社に相談して見積もりをくらべるのがおすすめです。
| 項目 | パッケージが向いている企業 | ASPが向いている企業 |
| 事業の規模 | 中・大規模、今後の拡大を見こむ | 小規模、まずは小さくはじめたい |
| 必要な機能 | 独自機能や基幹システム連携が必要 | 標準機能で足りる |
| 予算 | まとまった初期投資ができる | 初期費用をおさえたい |
| 運用体制 | 社内にEC・システムの担当者がいる | 少人数で運営したい |
ECサイトのパッケージは後から機能を追加できる?
多くのパッケージは、後から機能を追加できます。追加開発やオプション機能、外部ツールとの連携などで対応するのが一般的です。
ただし、追加できる範囲や費用は製品によって異なります。ソースコードを改修できない製品では、ベンダーが用意したオプションの範囲でしか機能をふやせないこともあります。
後から機能を追加すると、保守費用もふえることがある点に注意しましょう。将来追加したい機能に対応できるかを、導入前にベンダーへ聞いておきましょう。
ECサイトのパッケージにはどのくらいの費用がかかる?
パッケージの多くは料金を公開しておらず、要件をもとにした個別見積もりです。参考までに、ASPの「MakeShop」はプレミアムプランが月額13,750円(税込)です。
パッケージはライセンスや構築の費用が加わるため、ASPより金額は大きくなります。正確な金額は、要件を伝えたうえで各社の見積もりを取ってチェックしましょう。
ほかに、決済手数料や外部ツールの利用料などの追加費用もかかる点に気をつけてください。運用期間全体の総額で予算を立てておけば、導入後にあわてずにすみます。
参考記事:物販とは?ECの売上を上げる戦略と始め方・おすすめサービス7選
まとめ

ECサイトのパッケージとは、EC運営に必要な機能を備えたシステムです。これをもとに、自社の業務や販売方法にあわせたECサイトを構築できます。要点は次のとおりです。
- ASPより自由度が高く、フルスクラッチより費用と期間をおさえやすい
- 基本機能の充実やカスタマイズ性、セキュリティ対策のしやすさがメリット
- 費用は要件をもとにした個別見積もりが中心で、ASPより高額になりやすい
- 機能・拡張性・操作性・サポート・導入実績・費用の6点を比較して選ぶ
自社の年商や3〜5年後の事業計画をもとに、パッケージが合うかを判断しましょう。複数のベンダーに同じ要件で相談し、見積もりをくらべてから導入を決めましょう。